根津美術館は、1941年10月に開館した歴史ある美術館。
実業家・根津嘉一郎さんのコレクションをもとに、日本と東洋の古美術を7千点以上所蔵。
所蔵品には、尾形光琳の代表作・燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)をはじめ、国宝7点・重要文化財87点・重要美術品94点が含まれる。
建物は、建築家・隈研吾さんの設計で、2009年にリニューアルオープン。
隈研吾さんは、東京ミッドタウンのサントリー美術館や、歌舞伎座の設計を手がけ、2018年3月3日(土)〜5月6日(日)まで、東京駅のイベントとして、建築展「くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質」を開催した。
年に7回行う展覧会に加え、茶室が点在する広大な庭園が、魅力的な見どころ。
展覧会鑑賞後は、庭園をすみずみまで散策したい。
目次
根津美術館の展覧会・イベント予定
2020年9月19日(土)~11月3日(火)まで「企画展 モノクロームの冒険 日本近世の水墨と白描」を開催。
水墨と白描、モノクロなそれぞれの魅力を紹介する。
2020年11月14日(土)~12月20日(日)まで「財団創立80周年記念特別展 根津美術館の国宝・重要文化財」を開催。
根津美術館が所蔵する、日本と東洋の古美術の名宝が一堂に会する。
2021年1月9日(土)~2月14日(日)まで「きらきらでん(螺鈿)」を開催。
螺鈿(らでん)の歴史をたどる企画展。
2021年2月25日(木)~3月31日(水)まで「企画展 御用絵師の世界」を開催。
室町時代から江戸時代にかけての、御用絵師たちの作品を紹介する。
根津美術館の過去の代表的な展覧会・イベント
2020年5月30日(土)~7月12日(日)まで「企画展 刊行百年記念 大正名器鑑と根津青山」を開催。
大正名器鑑に掲載された青山旧蔵品を中心に、茶道具を展示する。
2020年7月23日(木)~9月6日(日)まで「企画展 花を愛で、月を望む 日本の自然と美」を開催。
花や月など、日本の自然美を象徴するモチーフの作品を特集する。
2020年2月22日(土)~3月29日(日)まで「虎屋のおひなさま」を開催。
愛らしく精巧な雛人形や雛道具を展示する特別展。
2020年1月9日(木)~2月11日(火)まで「対で見る絵画」を開催。
対の掛物や屏風を題材にした展覧会。
2019年11月16日(土)~12月23日(月)まで「江戸の茶の湯」を開催。
茶人・川上不白(かわかみふはく)の生誕300年を記念した特別展。
2019年9月7日(土)~11月4日(月)まで、企画展「美しきいのち 日本・東洋の花鳥表現」を開催。
花や鳥をテーマにした花鳥画の歴史をたどる。
2019年7月25日(木)~8月25日(日)まで、企画展「優しいほとけ・怖いほとけ」を開催。
鎌倉時代から江戸時代にかけてつくられた、優しい菩薩や怖い明王など、さまざまなほとけの木彫りと絵画を展示した。
2019年5月25日(土)~7月7日(日)まで、毎年恒例の企画展「はじめての古美術鑑賞 画題を知る」を開催。
画題をテーマに、古美術鑑賞の基礎を学べる。
2019年4月13日(土)〜5月12日(日)まで、特別展「尾形光琳の燕子花図 寿ぎの江戸絵画」を開催。
国宝・燕子花図屏風を、源氏物語図屏風や洛中洛外図屏風とともに展示した。
2019年2月28日(木)~3月31日(日)まで、企画展「ほとけをめぐる花の美術」を開催。
蓮華や沙羅双樹など、仏教絵画を彩る「花」に注目した展覧会。
2019年1月10日(木)~2月17日(日)まで、企画展「酒呑童子絵巻 鬼退治の物語」を開催。
酒が大好きな鬼「酒呑童子(しゅてんどうじ)」をテーマに描いた絵巻を3種類展示した。
2018年10月20日(土)~12月16日(日)まで、特別展「新・桃山の茶陶」を開催。
安土桃山時代の信楽焼や備前焼など、茶の湯のうつわを展示した。
2018年9月1日(土)~10月8日(月)まで、企画展「禅僧の交流 墨蹟と水墨画を楽しむ」を開催。
禅宗の僧によって育まれた、墨蹟と水墨画の名品を展示した。
2018年4月14日(木)~5月13日(日)まで、特別展「光琳と乾山 芸術家兄弟・響き合う美意識」を開催。
尾形光琳(おがたこうりん)と、弟の尾形乾山(おがたけんざん)の作品を同時に展示した。
2018年2月22日(木)~3月31日(土)まで、企画展「香合百花繚乱」を開催。
茶道具の香を入れる「香合」に焦点をあて、陶磁器や漆工など、さまざまな素材の香合を展示した。
2018年1月10日(水)~2月12日(月)まで、企画展「墨と金 狩野派の絵画」を開催。
狩野派の絵師による、金地がきわだつ屏風絵を展示した。
2017年11月3日(金)~12月17日(日)まで、特別展「鏨(たがね)の華 光村コレクションの刀装具」を開催。
光村利藻さんの刀剣・刀装具コレクションを約130点展示した。
2017年9月14日(木)~10月22日(日)まで、企画展「ほとけを支える 蓮華・霊獣・天部・邪鬼」を開催。
仏教美術を約40点展示した。
2017年7月13日(木)~9月3日(日)まで、企画展「やきもの勉強会 食を彩った大皿と小皿」を行った。
2017年4月12日(水)~5月14日(日)まで、特別展「燕子花図と夏秋渓流図」を開催。
尾形光琳作・燕子花図と鈴木其一作・夏秋渓流図を展示した。
2017年1月7日(土)〜2月19日(日)まで、コレクション展「染付誕生400年」を開催。
肥前磁器のやきものを展示した。
2016年11月3日(木)〜12月18日(日)まで、円山応挙「写生」を超えてを開催した。
コレクション展 染付誕生400年(終了)
染付誕生400年は、17〜19世紀にかけてつくられた肥前磁器を展示したコレクション展。
肥前磁器は、肥前国でつくられた磁器を指し、伊万里焼や有田焼が肥前磁器に含まれる。
染付とは絵の具で模様を絵付した陶磁器のことで、展覧会タイトルは、日本でやきものが誕生したのが、およそ400年前ということに由来。
時代によって特徴がちがう、さまざまな絵柄の陶磁器を鑑賞できる展覧会。
- 染付誕生400年のイベント概要
- 開催期間:2017-1-7(土)~2017-2-19(日)
- 時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:月曜日(1月9日は開館して1月10日は休館)
- 会場:根津美術館 展示室1・2
- 入場チケット料金:一般 1,100円/学生(高校生以上) 800円/学生(中学生以下) 無料
円山応挙「写生」を超えて(終了)
「写生」を超えては、根津美術館の開館75周年を記念し、江戸時代の画家 円山応挙の写生画を展示した特別展。
2016年11月3日(木)〜27日(日)の前期に国宝の雪松図屏風を展示したほか、重要文化財の藤花図屏風や写生図巻、七難七福図巻など、貴重な作品の数々がならぶ。
藤花図屏風は、総金地に描いた藤が、つつましくも華やか。
雪松図屏風は、雪がどっさり積もる松が描かれ、しんしんと音が聞こえてくるかのよう。
- 円山応挙「写生」を超えてのイベント概要
- 開催期間:2016-11-3(木)〜2016-12-18(日)
- 時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:月曜日
- 入場チケット料金:一般 1,300円/学生(高校生以上) 1,000円/学生(中学生以下) 無料
庭園の根津美術館八景
根津美術館の庭園には、根津美術館八景と4つの茶室、NEZUCAFEがある。
見どころをひとつひとつながめていると、1時間以上かかるので、暗くなる前に散策をはじめたい。
庭園には、1Fのミュージアムショップ付近にある庭園口か、B1Fの茶席口から出られる。
根津美術館八景は、月の石船・弘仁亭の燕子花・東熊野・ほたらか山・薬師堂の竹林・披錦斎の紅葉・吹上の井筒・天神の飛梅祠の8つ。
月の石船は、根津美術館八景の中で唯一、庭園ではなく本館の玄関前にある。
玄関前の通路は、京都にある三十三間堂の本堂を彷彿とさせる風格あるたたずまい。
三日月のようなカタチの石船の船体に水が溜まり、背後にとうろうがそびえ、風情がある。
弘仁亭の燕子花は、茶室 弘仁亭・無事庵の前の池に植えられている燕子花。
燕子花が満開になる4月下旬頃にあわせて、国宝の尾形光琳作・燕子花図屏風を展覧会で公開し、庭園の燕子花と見比べられる。
東熊野は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部になっている熊野古道を模したエリア。
奥にある小さな滝を那智滝に見立て、ミニ熊野古道を再現している。
ほたらか山には、観音菩薩像や石像、石の塔が集まる。
観音菩薩のすみか「ポータラカ」にちなんで、ほたらか山という名前。
薬師堂の竹林は、庭園のはじにある薬師堂をかこむ竹林。
地面にはびっしりと苔が生え、静かで荘厳な雰囲気がただよっている。
披錦斎の紅葉は、茶室 披錦斎・一樹庵の周りに植えられているもみじ。
紅葉の時期はもちろん、春夏に見られる青々としたもみじも美しい。
吹上の井筒は、池の中にある石の井筒で、地下水がわいている。
近くに浮かぶ小舟とセットで見ると、情緒がある景観。
天神の飛梅祠は、庭園の隅にある天神像がまつられているほこら。
森の奥のような、うっそうとした雰囲気の場所にたたずむ。
庭園の各所に、根津美術館八景の場所を示した庭園マップを設置しているので、迷ったらマップをさがすのがいい。
また、館内2Fにある屋根裏のようなラウンジから、ガラス越しに庭園を見下ろせる。
展覧会をまわって歩き疲れてしまった場合、ラウンジからのながめだけでも見てから帰りたい。
NEZUCAFE
NEZUCAFEは、根津美術館の庭園内にあるカフェ。
ガラス張りになっていて、カフェにいながら庭園の景色をながめられる。
展覧会を見て、庭園を散策している途中で、ちょっとひと休みに利用したい。
ドリンクに加え、BLTサンドイッチやミートパイ、パスタにハンバーグなど、ランチメニューを提供している。
また、お抹茶セットや、黒豆きなこアイスわらびもち添えなど、庭園の雰囲気にぴったりの和スイーツを提供し、開催中の展覧会にちなんだコラボメニューを提供することがある。
- NEZUCAFEの店舗情報
- 営業時間:10:00-17:00
- 座席数:45席
根津美術館の行き方・アクセス(新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため営業時間を変更している場合があります)
根津美術館は、美術館通りの根津美術館前交差点にある。
表参道駅からみゆき通りを歩いてくるのが最短ルートだが、骨董通りをウィンドウショッピングして、南青山6丁目交差点を左に曲がるルートでも行ける。
表参道駅はA5出口が一番近いが、A5出口は階段。
エレベーターでのぼる必要がある場合、B3かB4出口から出るのがいい。
- 根津美術館の基本情報
- 住所:東京都港区南青山6-5-1
- 電話番号:03-3400-2536
- 開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:月曜日・展示替え期間・年末年始(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日が休館)
- 公式ウェブサイト:根津美術館 公式サイト
- 常設展 入場チケット料金:一般 1,100円/学生(高校生以上) 800円/学生(中学生以下) 無料
- 最寄り駅からのアクセス:千代田線・銀座線・半蔵門線「表参道駅」A5出口から徒歩約8分/B3・B4出口から徒歩約10分
根津美術館の周辺スポット
根津美術館がある青山周辺は、落ち着いたおしゃれなカフェや雑貨のお店が集まる。
骨董通り(アンティーク通り)でインテリアのショッピングをしたり、表参道の通り沿いにあるブティックで最新のファッショアイテムをチェックするなど、観光に事欠かない。
岡本太郎記念館
根津美術館の前の通りを骨董通りに向かって歩き、路地を右に曲がると岡本太郎記念館がある。
岡本太郎記念館のイベントは、館内2Fで企画展や特別展示を開催する。
青山スパイラル
表参道駅のB1出口もしくはB3出口付近の青山通り沿いに、青山スパイラルがある。
根津美術館から徒歩8分ぐらい。
スパイラルでは、ギャラリーのスパイラルガーデンで開催するイベントを鑑賞したり、スパイラルマーケットで散歩するように雑貨をながめられる。
表参道ヒルズ
みゆき通りを表参道駅のほうに歩き、青山通りを渡ると、右に表参道ヒルズが見えてくる。
根津美術館から歩いて11分ぐらい。
本館のフロアは長いらせんの回廊になっていて、エレベーターやエスカレーターをつかわずに一筆書きで最上階まで行ける。
ジャイル
表参道ヒルズ西館の表参道をはさんでななめ向かいにジャイルがある。
3FのMoMAデザインストアは、ちょっと変わったプチギフトや出産祝いをさがすのにおすすめ。
東急プラザ表参道原宿
表参道を原宿駅のほうに歩くと、表参道と明治通りが交差する交差点に東急プラザ表参道原宿がある。
根津美術館から徒歩17分ぐらい。
東急プラザ表参道原宿のおもはらの森は、待ち合わせや読書など、さまざまな用途で利用できる。
ラフォーレ原宿
東急プラザ表参道原宿の明治通りをはさんで向かいにラフォーレ原宿がある。
ラフォーレ原宿のセール・イベントは、6Fのラフォーレミュージアム原宿で行い、7月下旬と1月下旬にグランバザールを開催する。
明治神宮
表参道をJR原宿駅のあたりまで歩くと、明治神宮の原宿口付近に着く。
根津美術館から徒歩20分ぐらい。
明治神宮のイベントは、文化館の宝物展示室で展覧会を開催し、2019年秋に隈研吾建築都市設計事務所の設計で、明治神宮ミュージアムがオープンした。